どばぞう賞 『花火』
審査員評 :
清原「超超超ピュアネス青春映画!そのどこにもねじれのない率直さに心打たれた。つるりとした昼間の映像と、ざらりとした夜の花火の映像の質感の差異がその間にある時間を想起させ、思い悩んだたくさんの時間があることを伝える。祈りの瞬間の間の作り方や音響効果は秀逸で、そのことによって青春の切実な願いの気持ちが表現されていた。普遍的なテーマをここまで素直に人の心に届かせるのは逆にむつかしいことだと思う。」
梅沢「1人の演者とナレーションを使ってちゃんとドラマを作ろうとしているのは好感が持てる。生徒会室の窓から1人で花火を見たというシチュエーションや、太宰府に来てみたという唐突さは面白い。生徒会室というよりカフェっぽく見えるのが少し残念。恋愛ドラマとしてはストーリーがありきたりすぎる。王道の場合演技の巧さや映像のクオリティがよほど高くなければもたないので、おっと思わせるような展開を考えてほしかった。花火や祭の映像はなかなか情感があって良かったので、人物を最低限映した上で情景を活かすような映像作りのほうが全体のクオリティが上がったのではないか。」
ノガミ「女性のカットの画角はもうちょっと接写とか、もっと後ろに下がって撮ったり、バリエーションがほしい。氷を転がしてるのとか賽銭や絵馬やお祈りしてるところなど、もっとズームインして撮っても良いモチーフがたくさんあった。だから、基本的に女性見え方が一緒、画角が一緒だった。どういう意図だったのだろう。内容はとてもわかりやすい。モノローグもわかりやすいし、最後の心臓の音の演出もわかりやすい。花火や祭りの映像がとても白昼夢的なかんじで効果が出ている。その代わりに普段の映像が少し普通すぎるのが勿体無いと思った。いらないものが映りすぎてて外国人とか気になった。普通の映画と自分の映像の違いを、カメラの性能だけでなく撮り方などそういった部分でちゃんと研究してみるととても良くなると思う。一人称視点なのに祭りの時には他のカップルがいて横恋慕なのかとちょっと思った。僕も花火は好きだけど、花火の写し方などは普通で、花火への思いはあまり画面に反映されていなかったから、そこももっと工夫した方が良い。」